※※※ どこが真ん中
※ ※ ※
また悲しくなって涙が出てきた。
森の中は周りを気にせずに泣ける。
なんでジリはあんなこと言うんだろう?いつでもいなくなっていいって、おれはジリの本当の子供じゃないから、いらないってことかな?
『力』がないのはおれのせいじゃぁないよ。みんながあったら、おれにもなくちゃいけないの?
ないっていうのは、悪いこと?
鼻汁といっしょに飲み込んだ硬い干し肉は、いつもよりおいしくなくて、すぐに袋にしまった。
もう疲れすぎていて怖くはない。
それに、さっきすごくきれいなものを拾って楽しい気持ちになっていた。
きれいな羽。
帰ったら見せてあげるんだ。いや、あげてもいいな。サーナになら。
相手の喜ぶ顔を思い浮かべながら顔をぬぐい、歩きはじめた。足取りは前よりも軽い。そして突然目の前に広がった水。
見晴台から見えたのよりも緑色で、なんだか少し変な匂いがする。思っていたのと違うけど、でも確かに向こう岸は見えない。
白くかすんで。
気づいたら周りがすべて白くかすんでいた。
これじゃあどこが『真ん中』なのか、わからない。
でもとにかく、水と陸の境目をずっと歩いて、どこかにないか見てみよう。
ずうっとまわって歩いていくと、水に大きく根を張り出した木が生え始めていたから、その根の上を伝って行ってみることにした。
でこぼこに絡み合った根には、緑色のコケが生えていて、何度か滑りそうになって、手を突きながら進むことにした。それでも袋は放さない。
ぼこん
ふいに見たその水面に、いきなり泡が出た。
止まってしばらくそこを見つめるが、それ以上何もでない。
「・・・へーき、へーき」
戻ろうかと振り返った岸は、《白》に溶け込んでしまって、もう、どのくらい離れたのかもわからない。
先に進むしかない。
「へーきだ」
ぼこん
「へーきだよ」
ぼこん
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