ジリもフッタも
「すまない」
ジリは改めて頭を下げた。
助けるようにヤシナが続ける。
「ジリはなにもかも黙って、ヒトとテングの仲を直そうとしただけさ。 それに、言えるような状況じゃあなかっただろ?ジリが子供の頃にはもう《テング》に助けられたって、言える状況じゃあなかったんだから」
「なんだって?」
ジリが、おれと同じようにテングにたすけられてた?
「ジリ、お前・・・」
長老がぽかんとした顔になり、ふるえる指をむける。
「あ、あの、カニをやっつけると、いなくなった時か?大騒ぎで夕方カエルの家から帰ってきて・・・」
カニを?驚いてジリを見上げたら、ジリは赤い顔をようやく上向けて、もぞりと言った。
「 そうだ。あの年おれの家がカニに潰されて親父が死んだ。おれは一人でカニを退治するつもりだったんだ。沼で、フッタのように落ちそうになったところを、そこの、サザナとエンに助けられた」
「「なんだって!?」」おれと長老の叫びが重なる。
※ ※
「へーき、へーき。」
子供が袋を担いで歩いていた。その先にあるのは深い森。でも目指しているのはそのさらに先にある蒼い水。
「見晴台から見えるんだ。そのうちつくんだ。へーき」
おまじないを教えてもらった。手をぎゅっと閉じて振り回せば『怖い』ものは寄ってこないって。
だからその小さな拳をずっと振り回している。
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