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《鍵》として
「 カニが溢れる前に、まとめてヒトを安全な所に移す必要があった。それをどうやって短時間でみんなに浸透させるか。 ―― 考え付いたのは、《混乱に紛れて現れる指導者》だ。ヒトとテングのバランスが崩れたとき、両方の間で《鍵》になっていたおれが現れる。しかも、おかしな自信と強い『力』を持ち合わせ、ヒトを優位に立たせようと導く。最大の『被害者』であれば、ヒトをみんなまとめて、煽ってもおかしくないし、話も早いしな。 ―― 思ったとおり、ヒトの反応は早かった、だろ?」
最後は少し馬鹿にしたような響きがあった。
「じゃあ、ジリは知っててずっと・・・?」
うつむいたヒトの塊から声があがる。
「許してくれよみんな。親父だって辛かったんだ。みんなのことだましてて。 でも、言ってたろ?『フッタは おれの子の生まれ変わり じゃない』って」
「な、なななな・・・なんで言わなかった!ジリ!」
本当に腰が抜けたのか、長老は座ったまま腕だけで抗議した。




