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理解しあう時間
「ヤシナ!王の前だ。慎め」
ジリの小さく鋭い声。
「うるせえな!おれはこういう表現してるときにヒトだなって感じるんだよ。 親父だってほんとは踊りたいだろ?おい、フッタ!」
頭は抱えられたままだ。
「なんだよ、いてえな!」
「お前、よっくがんばったなあ。えらいぞ!」
頭をなでられ恥ずかしい。
「や、やめろよ!離せ!」
「その小生意気な口!ほんっと ――― おれってかわいいなあ!」
「馬鹿はそれぐらいにしておけ」
ジリがたしなめてようやく解放された。
あれ?今ヤシナおかしなこと
いきなり王が笑った。岩の壁に反響して響きわたるそれは耳に心地良い。
「ヒトというのは、本当におもしろい生き物だなあ。なあフッタ、ジリ、そしてヒトの長よ。おれはお前らが好きだよ。ずっとなあ。 まあ、たまに争いも起こってきたが、それもいたしかたないだろう?異なる生き物だ。理解しあうのに時間がかかる。ほら、ヒトよ、面をあげて楽に座りなおせ」




