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カエル シルス フッタ ノ ハナシ  作者: ぽすしち
カニが来る

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161/217

もう住めない

普段あげない時間ですが、隙間で


「フッタ!休むな!」

 ヤシナの声で空から視線をあわてて戻し、布を巻いた槍を酒につけジリに渡す。


 ジリから渡された火のついた槍をヤシナが掛け声と一緒に、ひどく苦しそうに放つ。


 すごい匂いが充満し、槍は尽きて矢に替わり、ヤシナの息が切れてきた頃、サザナが戻ってきた。



「ヤシナ、ヒトは全て無事納まったぞ」

 その言葉にヤシナは腕を下ろし、ぐったりと座り込んだ。


「はああー。・・・疲れた」


「何してるんだ。早く巣に行かないと皆が何をするかわからないぞ」

 ジリがヤシナを立たせる。


 それをぼうっとみていたおれの頭をサザナが抱えた。

「フッタ、よくやった」

「お、おれなにもしてねえよ」

 謝るタイミングさえ失って顔も上げられない。


 立ち上がったヤシナは「よし」と、おれとジリを左右に抱いた。

「嫌な顔すんなよ。これでサザナに運んでもらうんだよ」


 そう言うヤシナの『力』のせいか、サザナに持ち上げられたおれ達は立ち上る黒い煙の中を、すごい速さで空に出る。




 黒くかすむ一帯を見下ろせば、飛び散ったカニとそれらを食いに群がるカニでいっぱいだ。



  きちきち、ちゅちゅちゅ



 たくさんの音と匂いと臓物があふれていて、これじゃあ



「・・・もう、ここには住めねえな」

 ヤシナが代わりに言った。





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