もう住めない
普段あげない時間ですが、隙間で
「フッタ!休むな!」
ヤシナの声で空から視線をあわてて戻し、布を巻いた槍を酒につけジリに渡す。
ジリから渡された火のついた槍をヤシナが掛け声と一緒に、ひどく苦しそうに放つ。
すごい匂いが充満し、槍は尽きて矢に替わり、ヤシナの息が切れてきた頃、サザナが戻ってきた。
「ヤシナ、ヒトは全て無事納まったぞ」
その言葉にヤシナは腕を下ろし、ぐったりと座り込んだ。
「はああー。・・・疲れた」
「何してるんだ。早く巣に行かないと皆が何をするかわからないぞ」
ジリがヤシナを立たせる。
それをぼうっとみていたおれの頭をサザナが抱えた。
「フッタ、よくやった」
「お、おれなにもしてねえよ」
謝るタイミングさえ失って顔も上げられない。
立ち上がったヤシナは「よし」と、おれとジリを左右に抱いた。
「嫌な顔すんなよ。これでサザナに運んでもらうんだよ」
そう言うヤシナの『力』のせいか、サザナに持ち上げられたおれ達は立ち上る黒い煙の中を、すごい速さで空に出る。
黒くかすむ一帯を見下ろせば、飛び散ったカニとそれらを食いに群がるカニでいっぱいだ。
きちきち、ちゅちゅちゅ
たくさんの音と匂いと臓物があふれていて、これじゃあ
「・・・もう、ここには住めねえな」
ヤシナが代わりに言った。




