※※ 白い羽
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「へーき、へーき。」
子供が袋を担いで歩いていた。その先にあるのは深い森。
でも目指しているのはそのさらに先にある蒼い水。
「見晴台から見えるんだ。そのうちつくんだ。へーき」
おまじないを教えてもらった。手をぎゅっと閉じて振り回せば『怖い』ものは寄ってこないって。だからその小さな拳をずっと振り回している。
しばらく行くと腕が疲れて、どちらの手でもおまじないはできなくなった。
お腹も空いたし、足が痛い。
それでも、もうここは森の中だ。薄暗くってひやりとしていて、朽ちた葉の匂いが溜まっている。
突然、誰かを思い出して少し泣く。泣きながら、歩く。
そのそばの大きな木のてっぺんにヒトのカタチに翼があるものが腰掛ける。
「どうしましょうか?」
「もう少し、見ていたほうがいい」
ささやきあい弾みをつけて高く飛び去った。
「あ」
子供は何か音がした上を見上げた。葉がまばらになりはじめた枝の間から、それが見えた。青い空に吸い込まれるように、白い点と黒い点。
なんだろう?
見上げたままのところへゆらゆらと白いものが降ってきて、子供は手のひらを上にむけそれを追いかける。
どうにかその手に納まったのは白くて柔らかい羽。
「きれいだなあ。」
見つめてから大事に袋にしまった。
そうだ、ついでに少し食べておこう。
袋から乾燥させた実を出して少しずつかじる。そうしたらまた、涙が出てきた。
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