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来るぞ!
「来るぞ!フッタ!それをよこせ!」
ヤシナがおれから袋を取り上げ、もどかしげに中から酒のビンを取り出す。
おれは、集めた矢を燃やすつもりで、この火がよくつく酒をかくしもって来ていた。
『燃やすぞ』とおどし、ここでいま一番『力』があり、《戦いを指揮する》ヤシナに、どうにかして、カニの話も聞いてもらうつもりで。
でも遅かった。
ぬらりとしたカニの足の先が木々の中で揺れている。
「フッタ!お前、この袋を破って矢に巻きつけろ。いいか?」
言いながら頭の布をとり引き裂き始めたヤシナは、おれからとりあげた酒ビンにそれを漬けてから。槍にまきつけた。
「フッタ!」
おれを呼んだジリはいつのまにか足元にランプを並べ、傘を取って炎を調節している。
「早くしろ!」
おれはあわてていわれたとおり袋の布を破る。
ヤシナが手にした槍に、ジリがランプの炎を移す。先から半分がいっきに燃えた。




