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湧き出た
さっと手が動き、おれは殴られるかと思って身を縮める。
「女ども子供を抱け!男は隣の奴の手をつかめ!絶対に離すなあ!」
突然振り上げられた手と怒鳴り声の命令に、皆がぎくりとして言われたままにするのがわかった。
そして ―――
「いそげ!早くメスから運べ!」
叫び声とともにいきなり空に湧き出たのはサザナだ。
きゃあ!と悲鳴があがり、おお!とうろたえる声が上がる。
翼の音がして風がおこり、湧き出た《テング》達が、子供を抱いたカミサンに白い腕をのばしてゆく。悲鳴をあげながら、カミサンとこどもたちが次々とうきあがってゆく。
「みんな皆抵抗するな!よく聞け!時間がない!あばれると落とされるぞ!テングはそれほど力がないんだ!無理して飛んでいる! お前らを助けるために!」
上に向かって叫んだヤシナが森の向こうに目をやり、顔を歪める。
なにかの匂いが風に乗って漂ってきた。
「ちっ、もうきやがる。子供を離すなよ!」




