※ 指
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「もらいに来たぞ。赤ん坊を」
言ってヤツからそれを受け取ったら、そのおかしいほど小さくて壊れそうな生き物が、ぐにゃりとしてわたしは慌てる。
「小さいな」「赤いぞ」
ヒトの森をゆくわたしとエンを見つけ、心配で付いて来たほかの奴らが上で囁きあう。
「エン」
その生き物があまりに軽くて暖かいのでわたしは抱くのが嫌で渡そうとしたのに、「しっかり抱け」と目の前の奴が命じる。
「しっかりと抱いて。――― 着いたらすぐに渡すんだ」
何が楽しいのか笑った。
「帰るぞ」
楽しくもないわたしは《赤ん坊》をかかえ背をむけた。
「ああ、ゆく前に、ここからの景色を・・・いや、上からの景色をその子に見せてやってくれ。頼む」
だがわたしは、それに答えることも無く舞い上がる。
無意識に腕の中のものを押さえながら。
「・・・」
驚いて見たら、その生き物が、わたしの指をにぎっている。
湿った暖かい小さな手。
これしかない大きさなのに、こんなにしっかりと。
まるでこれを離したら困るみたいに。
「どうしたのです?王子」
「いや、ヒトの子を初めて抱えたときを思い出した。 見てみろエン。このヒトも、今、このわたしを必要としている」
なんだかどこかを撫でられているようにおかしくて、何度も何度もそこを飛んだ。
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