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テングにわらわれる
カエルの家の上をたくさんのテングが飛んでいる。
「ヒトだぞ」「ああ、あれはフッタだ」「かわいいフッタだ」
上からくすくすと笑いがおちる。
「なんだよお前ら、おれがおかしいか?」
わあ、かわいいなあ。とテングたちにまた笑いがおこる。
「おい、無駄口をきかずにさっさと運んでくれ。フッタ、お前は《自分の椅子》から酒を出してここに並べろ」
カエルの家の棚の中はもう書物がところどころ残っているだけで、机の上に何も置かれていないのを初めて目にした。
がらんとしたこの状態は、かなり早くから巣にゆく準備をし始めたのがわかる。
「戻って、すぐに始めたからな」
酒のびんを並べてテングに笑われてるおれの後ろに、カエルが立つ。
「あんたは、 ―― 色々、わかってんだな」
今起こっている事の意味も。これから先起こるであろうこともぜんぶ。
カエルは口を閉じたまま手で招いた。中に戻り空になった長椅子の反対側を持つように合図する。
「おれの所には物が多い。ヒトは皆ヤシナのところに行き、今は家の中で準備中だろう?今ならテングが撃たれる心配もない。テングは非力だから時間がかかる」




