《カニ》への準備
「二人とも早く巣に行く準備して!」
「だってフッタ、みんなで巣に行ったら《テング》を撃つんだろ? 僕にだってできないよ」
ワッカがサーナの隣に立った。
「やっちゃいけないよ。フッタ、あたしも、少し勘違いしてたみたいだから。 往診にきてくれたカエルが、色々教えてくれたのさ。あたしのダンナが陸を出たのはあたしとワッカを他の陸に連れて行きたくて、それを見に行く途中だったって・・。それに、最後を助けようとしてくれたテングがいるって。そのテングは髪を魚に食いちぎられて、それからずっと髪が短いままだってさ。助けられなかったのを忘れないように」
それは・・・
――― 肩先で揺れるエンの髪。
「そんなテングが、生まれたばかりの子供を理由もなく連れ去るわけないだろう?ヤシナもいきなり帰って来たし、ジリも前に言ってたけど、あたしは全部に理由があると思うよ。カエルは何も言わなかったけど、知ってるみたいだね」
「理由?」
「まあとにかくフッタ、思ったとおりにやるんだよ。あんたにはあたしたちがついてる。きっとこの争いは無事に終わってあんたはこの陸を出て本当の親を捜せる。もし、みつからなかったら、絶対に戻っておいで」
ぎゅっと抱きぱっとはなれ 「ワッカ、準備をするよ。フッタはカエルの手伝いにいきな。カニは、動くと早いからね」
同じ顔が同じようにおれに微笑みかけた。




