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力がぬけて
いきなり腕をつかまれたサーナは答えようもなく口を開けている。
そうだ、ヤシナに。あいつなら。
「フッタ、どうしたの?」
ワッカのいつもの心配顔を見て間抜けな自分に腹が立つ。
このヒトたちを守らなきゃあ。
「カニが、来るんだ」
ヤシナに言っても、無駄か。
「カニ?カニの産卵はまだ」
どうすればいい?おれに出来ること。
「エンが教えてくれた」
「え?だって撃たれて飛べないんだろ?」
「違うよ!昔のエンなんだ。だから子供っぽかった」
時間を飛んで、ヒトを助けようと。
「なんだよフッタ、わかんないよ」
「おれに、伝えたんだ」
おれはヒトだから。
気付いたらサーナとワッカはそろって口を開けておれを見ている。あまりに同じ顔なのでおかしくて力が抜けたら、その考えが浮かんだ。




