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カエル シルス フッタ ノ ハナシ  作者: ぽすしち
準備

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140/217

十八年ぶりに戻った男


 ヤシナは下のヒトを指し示した手を振り上げた。

「早く戻って準備をしろ!整いしだい、望むとおり、あいつらの巣に行ってやるんだ!」


 おおおう


 ヒトたちは方々へ駆けて散った。



 ジリはもうどこもつかんでいないのに、おれは立つこともなくそこに座りこんだ。

「 ・・・そんで・・・みんなで弓矢を持って巣に? ヒトは謝ることもなくて、いきなり矢をテングに当てる?」

 ああ、おれもまだ謝っていないけど。でもこんな・・。


 うっすら笑った奴は「そうだな」と、うなずいた。


 ヤシナは、テングを撃つのが当たり前だと思ってるんだ。何で?

「何でだよ?あんた、テングとしゃべってたんだろ?巣にいたとき。昨日までのことだよな?」


 あんなにやさしげに笑っていた顔には、今は作ったような笑みがはりついて。

「ああ。出る直前までしゃべった」


 なのに

「なんで?いったい何言ってんだよ?」

 なんで、そんなことが言える?


「何って、テングとヒトの争いだ。しかたがないだろう」


 争いは前からあった。だから『決まり』がつくられて


「あ、あいつら、いい奴らだぞ?」


 でも破ったのはヒトたちで


「そうか?俺は十八年さらわれていた」


「そ、それはっ 」それは、それは「 それはおれのせいだから!だから」



「ワッカとサーナを迎えに行け」

 落ち着いた低い声でヤシナはおれに命令した。



 今ヒトをまとめているのはこの男だ。

 おれは改めて奴を見る。

 十八年ぶりに戻って、『力』が有り余るほど強くて、若くて逞しい、戦いを導いてくれる。


 奴は笑い、おれは睨んで窓に跳ぶ。


「フッタ!」

 おれがつくった穴の手前に降ているのを見つけ、ジリの顔が和らいだ。

「危ないから穴を塞ぐまでここから降りるな」


「ヤシナは落ちても平気だよ。塞ぐ必要ねえだろ」

 ここはジリとヤシナの家だ。おれの居場所はもう無い。



「フッタ!」

 ジリはおれを呼んだが、あいかわらず止めようとはしなかった。





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