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来たぞ
「起きろ」
いつの間にか寝てしまっていた。起き上がったらもうすっかり明るくて、
「来たぞ」
ヤシナが腕を組んで窓横の壁にもたれかかっている。
「来た?何がだよ?」
奴は答えずにただ笑った。
しばらくしたらヒトがたくさん近付いてくる気配がして、そっとヤシナの隣からのぞいて声もでない。
窓の下、見晴台には男たちが弓矢や槍を持ち集まっていた。階段はすこしも音をたてなかった。
「 誰もその『足』でのぼらなかったらしいな」
ヤシナが馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「なんで、うちに?」
一瞬おれが取り押さえられるのかと考え、身を縮めた。
「ここにはジリがいる。そしておれも来たからだ」
ヤシナが壁に頭をつけて楽しそうにヒトたちを眺めた。
「おい、来たぞ」
ジリが梯子をのぼり顔を出す。同時に窓の下から叫ぶ声がした。
「ジリ!ヤシナ!おい!」
ヤシナが急に顔をしかめ、窓に体を出した。
「何だ?大勢で。まだジリと話しが終わってないよ!」
嘘つけ。




