いいから寝ろ
「・・そうか、お前ここを出るのか?なら」ぐっと身を寄せ「今から出たらどうだ?」
試すように目をのぞいてくる。
「いいか、このままだとヒトとテングの争いに巻き込まれるぞ。お前はここのヒトではないんだろう?」
最後は少し笑った。
すごく嫌な感じ。
「おれは、テングに話しに行くんだ。裁いてもらって、罰を受ける」
言い切ったのにヤシナはにやけてる。
「そうか?なんならおれがみんなに言ってやるぜ。フッタはここのヒトじゃあないから、この争いに巻き込むべきじゃあないって」
「やめてくれよ。ジリだって罰を受けて、そんであんたと長い間離れることになっちゃったんだろ?それだって・・」
なんとなくこいつには謝りたくなかったけど「・・俺のせいだよ・・・。永いことごめんな」
ジリに言うよりは簡単だった。
「そうか?まあ気にするな。許してやるから」
おれの手を取って叩くとにっと笑い、敷いていた毛織物を広げてごろりと横になった。
「そんじゃあさ、明日って、まあ、もう今日だけど、テングの巣に行くから一回寝ろ」
「あんたと?いいよ。すぐに一人で行くよ」
「岩山に登れるのか?そんなケガして一人で? それにジリがお前を一人で行かせるわけないだろ?きっとまだ起きてるぜ」
「でも」
「途中で寝られると困るんだよ。いいから寝とけ」
命令にむっとして言い返そうとしたのに、すぐに寝息が聞こえてきた。その姿を見ていたら、おもいついた『何か』をヤツに言いたくなったのに、すぐにその『何か』がわからなくなって、あくびがでた。




