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おまえも早く
「これ、お前のだろう?」
持ち上げたのは、おれが持ち出そうとした袋だった。
「見晴台に穴があったからな、その下を見てきたんだ」
「ああ。そうだよ」中身を確認することもなく引き寄せる。
そうだ。
「・・・落ちたの止めてくれたの、あんただろう?」
あんな『力』があるのは。
「いや、知らないな」
ヤシナは部屋を見回してうれしそうにうなずくと、自分で持ってきた敷物にどかりと座った。
「あんた、ジリと話すことがたくさんあんだろ?」
下に行けよ。
一緒にはいたくない。
「ああ、でももう終わった」
「 へ?」
思わずその顔を見つめてしまう。
「 だ、だってさ、十八年ぶりなんだろ? 生まれて、すぐ別れたんだろ?」
「そうだ」
明るくなって初めて合ったこのまっすぐな茶色い目は、やっぱりジリの子供だ。
「それじゃあ話したいことがいっぱいで」
「おれたちは本当の親子なんだぜ?言いたいことは黙っていても通じるさ」
その自信に満ちた言葉におれは黙る。
「ああ、お前も早く会えるといいな」
にやけていた顔が悲しげな表情になる。
「ここを出たら見つけるよ」
同情なんかされたくない。




