わかってくれる
「僕たち、ケンカしたのって久しぶりだね」
その目はやっぱりサーナと同じで、勝てるわけがなかった。
負けてもいいよ。
「・・うん。ありが、と」
どうにか言えたらワッカが肩を組んできた。
「長老に話しは聞いたけどさ。そっちの肩痛そうだね。平気なの?」
「ああ、こんなの・・・」
「・・・テングもきっと痛かっただろうね」
やっぱり、こいつはわかってくれる。
「うん・・」
しばらく前の二人みたいに肩を組み、少し背をまるめて黙って歩く。足元の草むらから驚いた虫達が跳ぶ。
「なんか、フッタ変わったね」ワッカは揃って踏み出される足を見たまま言う。
「そうか?ま、色々、あったからな」
笑おうとしたけど無理だった。
だってまだ『色々』の途中だから。
ワッカも気が付いたらしくうれしそうな表情が消え、かなり前を行く二人を眺めた。親子は顔を寄せ合い何かをずっと話しているようだ。
「 ・・・ジリの子が、ヤシナが帰ってきちゃうなんて、ほんと色々だよね」
そこからまた黙って歩いた。なのになぜか足だけが、急に競うようにどんどん速くなって駆け出して、おれたちは肩を離して丘を下り、ワッカが勢いよく転がった。おれもわざと転がって、なんだかおかしくって笑った。
目の前の空はどんどん明るい青になってきている。




