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ワッカごめんな
ヤシナはジリの肩を抱え込むようにして前を歩いている。
「 ―― あのさあ、フッタ」
それをつい目で追っていたおれを下からのぞいたワッカが、何かを言いたがっている。
「ワッカ、サーナの具合どうなんだよ?」
言われたくなくて違うことを聞いたら、うれしそうな顔をした。
「そう、僕もそれをフッタに言おうと思っててさ。かあちゃんは確かにあれから熱出して倒れたんだけどさ、カエルに診てもらったら三日で熱は下がるだろうってさ。今は咳して鼻水たらして横になってるよ」
さっきヤシナがジリにしたように、ワッカは並んだ俺の肩をたたいた。
思いきって聞いてみる。
「あの、・・・石は?」
まだワッカを見られない。
「ああ。かあちゃんがにぎって寝てるよ」
ワッカはずっとおれのほうを向いている。
「とうちゃんが帰ってきたって言ってた。僕もそんな気がするよ」
なんで、おれに笑いかけられるんだよ。
その困ったような目と合ったら、
「・・・ワッカ、ごめんな」
やっと出せた言葉なのに、それはすんなりと口を通った。




