どうして今なのか?
「なんで知ってるんだよ?自分がいなくなった後のことをさ」
なんだかこいつ、嫌だな。
「そりゃテングに色々聞くからさ。はっきり言って別に囚われの身であったわけでもないしな。山の外には行くなって言われてたくらいで閉じ込められていたわけでもない。 ただ、ちっちゃいころからおれは罪を改めるためにここにいるって聞かされてたから出たらいけないって勝手に思ってただけだ」
「じゃあなんでもっと早く帰ってこなかったんだよ?」
おれがさらに問いただすと、「フッタ」後ろのワッカが背中をつついた。
「あはは、そうだよな。でもさ、おれの背負った罪はヒトの時間でいうと二十年ぐらいらしいんだよな。ま、それぐらいならいてもいいかなって思ってたんだけど、今度のことがあって周りのテングはみんなヒトとの争いがまた始まるって言ってるし、王は機嫌が悪くてみんなびくびくしてるし、親父に撃たれたっていうテングの翼を見ちゃってさあ、あんまり居心地良くなくなっちゃって。おれ、今十八年だけど、ま、もういいかなって自己判断で出て来たわけだ」
テングと長く暮らしたせいか、さらったテングの悪口も言わず、その笑い方は柔らかく話し方は暖かい。
「ほんとかよ」おれはそれが嫌だった。
「フッタってば」
ワッカが今度は引っ張った。




