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とびおりて抜け出した
「 そ。 だからさ、巣では今、王が怒っててテングはおれのことなんか忘れちゃったみたいでさ。だから抜け出せたんだって」
ヤシナは長老の家で皆を前にして話をしていた。
「でもいったいあの岩山からどうやって出たんだ?」
誰かが聞いた。
「え?だって、あんなの《飛び降りられる》だろう?」
一人だけ立ったままのヤシナがにこやかに見回したのに誰も何も言わない。
「 ―― さっきの、《矢を折った》のは、あんただろ?」
皆の厳しい目がおれをみたが、かまうもんか。
「 ―― そうだ。お前がテングの前になんか出てくるからだぞ。危ないところだったな」
にっこりと笑いかけられるが
「危なかったのはサザナだよ。 おれじゃあなくて」
おれは間に合わなかったんだ。
「おいフッタ、お前助けてもらったのに何言ってんだ?」
誰かの怒った声。
「ああ、お前が、『フッタ』か? 親父が世話になったんだろ?」
ヤシナは今気がついたように改めておれを見る。ジリはその男の足元に座ったままでどこか遠くを見ていて動かない。




