120/217
『 ただいま 』
そのままジリは、丘の向こう。森のほうを見ている。
目が慣れてそれが見えた。
森の方から、誰かヒトが来る。
「誰だ?」長老が皆を振り返る。
だがみんなも顔を見合わせただけだ。
ジリは全く動かない。
段々とこちらへ近づいてくるのは、でかくてがっしりした男で、見たこともない黒い服を着ていた。見られていることを意識してか、立ち止って手を振る。皆が顔を見合わせた。
男は楽しげに駆け出すと、片足で地を蹴った。
「ただいま」
――― こいつ・・・ここまで・・・跳んだ・・・
いきなり目の前に来た男はにっこり笑う。
何が起こったのか理解できるまで、誰も動くこともできなかった。
「すげえ・・・」
思わずつぶやいたおれを男は満足気に見てから、呆然と立っていたジリを見つけて両手を広げた。
「帰ったよ。 ―― 親父」
―― なんだって?




