空の中
「 ・・・一緒にいても、 ・・・ケンカばっかりだよ」
現状だけ伝えたら、サザナは微笑んだままゆっくり立ち上がり、おりるか、と聞いた。
「うん。でも、・・・すこし空を《聞いて》からにする」
わかった、と枝を伝ってきたサザナが太い腕を後ろわきからまわし、すぐに、下に落ちる。
ばたばたという翼の音と巻き上がりまとわりつく風。
つきそうだった地には着かず、体は何かにひきあげられたように、―― 上へ、上へ。
風が、顔から下、体すべての部分をこすってゆく。
ふいにそれが弱まり、しっかりと目をひらいたそこは青い空の中だ。
あまりのまぶしさに目をつぶる。
胸の前で組み合わさったサザナの手が掴み直された。
「ヒトは育つのが早い」
「そうかな。でかくならないっていつも言われてるぜ。ジリに」
目に見えるのは、木々の色、水の色、空の色。 それが染みて、目が痛い。
この翼の力強い音と、風がこすれて過ぎてゆく聞きなれた音も、もうすぐ聞けなくなるんだなと、急にきづく。
はじめて意識して聞くと、『テング』たちの表現の『空を聞く』っていう表現は当たってる。




