117/217
もう たくさん
ジリがうめき声をあげその場に座り込んだ。
長老が声の出ない口を動かしてそれを見た。
「さ、サザナ、でも、それは」
思わず話しかけたら、腕を組んでヒトの様子を眺めていた冷たかった目が、困ったように微笑んだ。おれの知るサザナの顔だ。
「それは、『ひどい』、か ?フッタ、『決まり』は守られるためにあるのだ。破った者はそれ相応の罰を受けなければならない。改めるためにも。 そして、お前にもその覚悟がなければならない」
いつもの、おだやかな表情だった。
「ふ、フッタだってジリの子だ。おまえらはいっぺんに奪うというのか?」
長老が立ち上がれないまま下から訴える。
「もう我慢できん!」
ヒトの中から声があがり、数人が立ち上がった。
「やめろよ!おれが行ってジリの子供のことは頼んでくるから」
もうたくさんだ。
「フッタ・・・」
ジリが驚いたようにおれを見上げた。




