おれだけ行くよ
「誰もフッタに何もするな!」
突然空から声がふり見上げれば暗い空にたくさんの白い影。
ヒトたちが身をかがめて道具を構える。
「動くな!」
命じながら急降下した黒い影は風を巻き起こしカエルの側に降り立った。
「サザナ・・・」
それはいつもの穏やかな顔ではなかった。
黒い髪を無造作にまとめ、黒い布をまとったサザナは腕を組みヒトを見渡す。
「王の命を受け参った。今より裁きを始める」
いきなり宣言するとまっすぐにジリを指した。
「われらに矢を放ちエンに傷をおわせし者か?」
ジリはサザナを見たが何も答えない。
そうだ。答えたくないんだろう。子供を連れ去った《テング》になんて。
なんで、どこに連れて行ったんだよ?聞きたいが今はそれをぐっとこらえ、かわりに言った。
「そうだよ。ジリが撃った」
答えたおれを皆が振り返った。
「フッタ、きさまジリを」
「王に言ってくるよ。ジリがエンを撃ったのは『おれのせい』だって」
責める言葉を出すはずだった長老の口から、おかしな声がもれた。
「おれを裁いてもらうだけでいいだろ?だから、ジリはいいよ。行かなくて」
「それは」
「そういうテも、あるな」長老をさえぎってぐつぐつとカエルが笑った。
「きさまらはさっきフッタに、おれを引きずってテングの所に行けと、言ったよな?おれは聞いたぞ」楽しそうに手を上げた。




