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一緒に巣へ
「愚かだ」
まだおれより上にいるカエルがつぶやく。
「そんなこと言ってる場合じゃ 」突然カエルが下がった。
すぐにおれも落ち、見晴台から落ちたときの感覚と重なり、ぞっとした。
「やめろお!」
がくんとからだがとまり声の主が家から出てきた。
「おお、だがジリよ、皆の気が治まらぬのだ。フッタもこれぐらいで目が覚めればいいだろう?」
長老の声を聞きながらおれはケツから草地に降ろされた。カエルは少し向こうに立った姿勢で降り立ち眼鏡を直す。
「これで、決まりだ。ヒトはやはり愚かだな。なあ、フッタよ」
何事もなかったように『決まり』を抱え直し低い声で聞くが、おれはエンの血が染み付いた布を握り締めていて、答えられなかった。
草を踏む音が前で止まる。
「・・・すまなかった。フッタ、傷はどうだ?」
ジリがかがんでおれをのぞきこむが、顔はみられない。
「そ、そんなの、エンにくらべりゃ」
「そうか。お前が証人だ。フッタ。おれと一緒に巣に行くぞ」
「え?」
おどろいて見上げればジリのその髪も髭も、いつもよりひどい乱れようだった。




