決まり
「 『 ひとつ、ヒトはテングの領域に踏み入らぬ。 ひとつ、ヒトはテングを襲わず。 ひとつ、ヒトは長を置きまとまる。 ひとつ、ヒトを視るカエルに触れず。 ひとつ、ヒトは真実をみよ。 そして、この『決まり』が破られし時、ヒトは王の裁きを受け、その罪を改めなければなければならぬ 』 っと 」
「カエル!」
長い紙をよみあげたカエルの体が見る間に浮き上がってゆく。
「誰だよ!カエルに『力』なんか使うなよ!」
飛び上がったのにその肩の赤い布にさえおれは届かず、『決まり』の紙をはためかせた奴はまだ昇ってゆく。 高い。
「やめろ!みんなおかしいよ!」
黙って暗い空を見上げる皆が急に怖くなる。
あんなところからみんなの『力』で落とされたりしたら―― 。
「騒ぐなフッタ、お前は証人としてその布を持ち、王の所に行け」
かさこそと紙を仕舞うカエルの落ち着いた声が降ってきた。
「何言ってんだよ!頼むよ!みんな、やめてくれよ!」
黙ったままこっちを見るヒトのその目に、表情はない。
「フッタはカエルを引きずってテングの所に行けよ。『決まり』なんてテングに都合のいいものに縛られる理由なんて、おれたちにはない」
誰かが言ったらおれの体も浮いた。
ゆらりと頼りなく、ゆっくりと上へ浮かんでゆく。




