ひどく悲しむ
「エンはサザナが迎えに来たんだろ?一緒に帰ったんだよな?」
生きて。
カエルはおれを見た。
「そうだ。サザナが迎えに来た。傷はどうにか、急所ははずれていたが、落ちたんだ。翼が折れた」
「翼が!」
だからこんなに血が。布を持つ手が震えた。
「ひどいものだ。あれは ―― 。 当たり前だが、ひどく、悲しんでいる」
「ああ、でも生きてるんだな?」
ほっとしたおれからカエルは目をはずさない。
「生きているが、もう飛べないだろう」
「飛べなくても生きてれば・・サザナだって傍にいるんだし」
一緒に飛べば。
「あいつは、じき王になる」
じゃあやっぱり
「あの二人が、次の『王』なのか?」
「『王』は一人だ。サザナがテングの次の王だ。『王』はツガイに・・・いや、決まった伴侶はもたない。エンにばかり付いてやることはできなくなる。 エンはサザナの付き人として選ばれた者で、今の王の信頼と愛情も厚く受けていた。だから、王が怒っている。 お前らは覚えていないだろうが、ヒトが王を怒らすのはこれで二度目だ。『決まり』ができたというのにヒトはそれさえも忘れてしまったようだな。『決まり』がどんなものだったかきさまらに思い出させてやろう」
抱えていた赤い布張りの書物の表紙を開くと、ばさりと中の紙が下まで垂れた。




