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みんなの『力』
「あ、あれは違うんだよ」
その青い目がおれ見て言った。
ワッカはまた笑われて、ちがう男がまたおれをみた。
「しょうがねえさ。ワッカはフッタの為なら、かあちゃんが《テング)にさらわれても平気な親不孝者だもんな」
わきあがった笑いの中へ体が勝手に飛び出した。
なのに、そいつに手が届く前に『力』で持ち上げられ、軽々と転がされた。
この『力』はワッカじゃぁない。ワッカいがいの、ここにいるみんなの『力』だ。
「フッタ!」おれに掛け寄ろうとしたワッカは誰かに《止められ》、その丸い体は空を泳いでじたばたとする。だれかがそれを「奥に連れて行け」と命じ、ワッカは笑い声に見送られて奥にある長老の家へと押し込まれた。
「・・・やはりヒトは愚かだ」
ぼそりとカエルがつぶやいた。
だがよく通るその声では皆に伝わってしまう。
「なんだよカエル、お前はいったいどっちの味方なんだ?やはりテングか?」
一人が聞くと皆がそうだ、はっきりしろと騒ぎ出し、みんながおれとカエルを取り囲む。




