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見守る者
板をはずした椅子の中にはカエルが配る酒のビンが静かに並んでいた。
「・・・どうすりゃいい?」
「己で考えるんだな」
その背が丸まりビンの間に埋もれる。
がたんと板を戻したその腕には、赤い布にくるまれた塊が抱えられていた。
「よし、では行くぞ」
「どこにだよ?」こんな時間に?
「ヒトの長のところだ」
『戦いの始まりだ』
赤い布から書物をとりだすと、その布をカエルが肩に掛ける。
「長にどう聞いているかは知らないが、おれは行かなければならない。お前もな。月は消えたからランプを持ってゆくぞ。長老の家は足場が悪い」
「お、おれも?」
カエルはランプの明かりを小さくするとおれの肩を縛った白い布の残りを持った。
「いいか、エンをジリが、 ―― テングをヒトが撃ってしまった。長いこと守られた『決まり』は破られた。『決まり』を見守る者として、おれはすぐに行かねばならん。お前は『証人』だ。一緒に来い」
ショウニンって一体なんだよと聞く暇もなく開いたままのドアを抜けた。




