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景色
設定ゆるふわ。薄目でごらんください。 旅立つ少年と、心残りとか争いとか、 新しい場所をめざして の、はなしです。。。
腹が出てきた。
こうして急いで歩くとよくわかる。
そろそろ気にしないとまずいか?なでてみた自分の腹が思っていたよりも軟らかくて、慌てて手を引っ込める。
まあいいさ。
ようやくたどりついた階段で、息を整える。
勢い込んで足をかけた板が、ぎちり、と苦しそうな音を出す。
ぎちり ぎち ぎちりぎち
息がまたすぐに乱れ苦しくなるが、上りきって辺りを見回す。
そうだ、これからはこうやって本当の『力』を使うんだ。
また腹をなでてみる。
暖かく強い風が、ざああっと渡ってゆき、ここから見えるそれらの色が今日も変わっていないのを確かめる。
木々のあお、水の蒼、空の青。
早く見せてやろう。
ほら、どうだ?あそこでは水がきらきらと輝いている。
ふうっと息を吐いて景色を見納め、向きを変えるその瞬間、青い空の中に何かを見た気がして、また首を戻した。