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9 ようこそストロベリー王国へ

バイトが一緒になって気がついたこと。

イチゴくんの発言がちょいちょいおかしかった。


男のオレに毎度毎度に「結婚を前提に付き合って欲しい」の寝言と、「僕の()に来てください」の発言。

イチゴくんは地方出身だからかなって思ったけど、今時、地方を『国』と呼ぶ古風な若者はいない。

あと、買い物したことがないとか、ジャンクフードやファストフードも食べたことがないというお坊ちゃんな発言やら。

なのに、バイトは家庭教師やお洒落なカフェとかじゃなくてコンビニだし。

このトイレ掃除も笑顔でこなすイケメンが謎で仕方がなかった。



まさか、異世界人だったとは……。



❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎


「ストロベリー王国はベリー大陸の中で一番面積が大きな国なんです。四季もあるんですよ。あっ、でも先輩の住んでいるところほどの寒暖差はなくて過ごしやすいです」


イチゴくんが楽しそうに説明をしてくれるが、今のオレの頭には全く入ってこない。

だって、乗ってる馬車は空飛んでるし、イチゴくんの髪と目の色が変わってきてるんだもん。

茶色だった髪は赤毛が混じった白髪に、同じく茶色だった目の色は紅く、オレの目の前でゆっくりと変わっていった。


「それでーー。あれ、先輩?どうしたんですか?」

「どうしたもこうしたも、人生初めての馬車は空飛んで、目の前のイチゴくんは髪と目の色が変わっていったら話なんて入っていくわけないだろっ」

「ああ、そうですよね」


一息で言い切ったオレにのほほんと返すイチゴくんに、上がっていた肩がガックシと落ちる。

この子は何者なんだよ。

ツッコミを入れられても動じないなんて、ただのお坊ちゃんじゃない。


「僕の髪と目は本来この色なんですよ。でも、先輩の世界にはこの色の人間はいないらしくて魔法で変えたんです」


確かに、イチゴくんの髪の色はブリーチしてカラー入れてもこんなに綺麗な色にはならないだろうし、目の色はカラコン着けたらいけるかもしれないけど、そんな奴がいたら完全に浮く。

そもそも、イケメンでもそんな髪色と目じゃコンビニでのバイトはできない。


「……ん?」


何かを聞き逃したような。


「イチゴくん、今、なんて……?」

「僕の髪と目は本来この色なんでーー」

「じゃなくて、その後」

「ああ、魔法で変えたんです」


まーほう……。

なーにー?

この国は魔法の国なのか?


益々情報が頭に入らなくなった。

混乱しているうちに馬車はこの街の中心に降りた。



え……?


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