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65.

『お仕事が終わったら一緒に帰りませんか?』

『じゃあ、終わったら連絡する』


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎


「歩夢先輩、お疲れ様です」

「……あのなぁ……」


メッセージアプリで待ち合わせ場所を指定したはずなのに、何故かブースの出口で出待ちされていた。


「それは……、一刻も早く貴方に会いたかったんです」

「きゃぁ」


イチゴくんのセリフに後ろにいた女子どもが悲鳴を上げて喜んでるよ……。


「可愛さん、その方、紹介してくださいよ」


後ろにいた女子どもがオレを両サイドから挟むと袖を掴んで小声でそう言った。

両手に花状態なのに、悪寒しかない。


「あ……いや……あの……」

「歩夢先輩?」

「ちょぉっと急いでるからまた今度ねー」


女子どもの手を丁寧に解くと、首を傾げるイチゴくんの腕を自分の腕に挟み一目散にその場から離れた。



「もー。こうなるのがわかってたから待ち合わせ場所決めたのに」

「あ、すみません」


人気がなくなるとちょっと語気を強めにイチゴくんを叱る。


「……おい、なんでそんなに嬉しそうな顔してんの?」

「え……あの」

「ちょっと頬も赤い。もしかして熱があるのか?」


今日の外は風が出ててちょっと寒かった。

薄手のコートを着ているとはいえ、それでもちょっと薄着気味のイチゴくんは、この寒さで風邪でも引いたのかもしれない。


「て、あれ……?熱は……ない?」


イチゴくんの額に手を当てるが熱はなさそうだ。

寧ろ、オレの手の方が温かい。

なのに、イチゴくんの顔は益々赤くなってる。


「あの、いーー」

「あ、歩夢先輩が、僕の腕に腕を絡めてくれてて……それに、熱も測ってくれてて……それが、恋人みたいだなぁ……って」

「………ぁ」


その言葉にオレは目線を下に移す。

オレの右腕は今もイチゴくんの腕にピッタリ絡みついている。

目線を上に戻すと、オレの左手はイチゴくんの額にくっついたままだ。

確かに、恋人っぽいかも……。


「わーっ、ご、ごめん」


パッと手を離すとイチゴくんから距離を取る。

ヤバい、オレの顔まで熱くなってきた。

頬に手を当てると本当にちょっと熱い。

チラッとイチゴくんの様子を見ると、ちょっと残念そうな雰囲気を漂わせつつ微笑みを浮かべた顔をオレに向けている。


「もー。イチゴくんのバグっている距離感がオレにも移ったんだよ……うぉっ」


イチゴくんに一気に詰められて変な声が出た。


「『淡雪』ですよ」

「あ……ごめっ」


顔まで詰められる。


「あーわーゆーき」

「あ、淡雪、くん……」

「はいっ」


元気な返事と向けられる笑顔が眩しいっ。


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