55.
8月もあと3日で終わる今日この頃。
「ごめんね。急に呼び出して、手伝ってもらっちゃって」
「全然良いっすよー。バイト代貰えるし」
「もちろん、交通費も出すよ~」
今日は、バイト先のコンビニの店長に呼ばれて、リニューアルオープンの準備の手伝いにきた。
といっても、陳列はほぼ終わっていてオレが手伝うことはほとんどなかった。
それでも給料出るし、ついでに来月からのシフトの確認もしたかったから全然構わなかった。
ガラリと変わった店内のレイアウトに、商品の位置を確認しながら空いている棚に今日届いたばかりの商品を並べる。
前とはだいぶ違う配置に、オープン前に確認できて良かったかも、なんて思いながら作業する。
品出しが終わると、新しいレジの使い方を習った。
以前のものよりかなりバージョンアップしていたが、複雑な操作はないし慣れれば使いやすそうだ。
「どう?新しくなったお店は?」
「なんか良いっすね。ワクワクします」
「可愛くんがそう言うなら、この改装は正解だね」
バックヤードで店長がお中元で貰ったというちょっとお高いお茶とお煎餅でまったりする。
「可愛くんの来月のシフト、前と同じ週4夜勤で組んじゃった。再来月のシフトはちゃんと確認してから作るけど大丈夫?」
「はい」
シフト表をもらって確認すると、一覧表にはイチゴくんの名前もちゃんとあって、来月もオレの相方はイチゴくんだった。
それだけでちょっとホッとする。
あれからやっと1ヶ月が経つ。
多い時は週4日も顔合わせていたのに、こんな長く会わない日があるなんて本当に不思議だ。
顔も声も昨日のことのように覚えているのに、その記憶はすごく昔のようにも感じる。
「一后くん」
「ひゃっ」
不意に店長がその名を呼んで飛び上がりそうになる。
そんのオレの様子に店長は笑う。
「あんなことがあったのに、一后くんも可愛くんもこのお店を辞めなくて良かったよ。ありがとう」
「いえっ。オレ、この店好きですから。店長も他のスタッフもお客さんもみんないい人だし」
「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいね」
正直、2度目の大学受験を失敗した時、ここも辞めようと思った。
けど、店長が何度もオレの話を聞いてくれ「一年でいいから、もう少しだけ頑張ってくれないかな?」って説得してくれた。
そのことがあったから今もバイトも続けられたし、少しずつ次の目標を探していこうという気持ちも持てた。
まあ、まだ次は見つかってないけど。
「来月からまた頑張りますね」
「うん。期待しているよ」
よしっ、来月も頑張ろう!




