46.
アウルの部族ー梟ーは魔法を使えない部族だ。
その代わり身体能力がとても高いと。
それは、昨日本人から直接聞いた。
でも、アウルはそれだけではないと。
「魔法を使えない人間の一部に魔法を打ち消す能力を有する者がいると噂があるんです。その者は、意思一つでどんな魔法をも無効にします。例えそれが王族の魔法でも」
「マジか……」
昨夜、襲ってきた男がアウルの能力についてチョロっと言ってた気がするが、かなり強かったのか。
イチゴくんの話によると。
この城の敷地には結界が張られていて、何人たりとも自由には行き来できないようになっているらしい。
もちろん、王族であるイチゴくんも決められた所からしか行き来できない。
だが、アウルはできた。
その結界が魔法で作られたものだから、だ。
「あの男は、その能力で結界の中に侵入し、先輩を連れて外に出たんです。僕らは見事にあの男の策に嵌って足止めを食らい逃亡を許してしまいました」
あの時見えない壁に阻まれたと思ったのは結界だった。
イチゴくんを出し抜くアウルは相当狡賢い奴だったんだな。
「そっか、だからオレたちを襲った奴らは毒針を飛ばしたり剣を使った物理攻撃をしたのか」
「はい。針はたぶん、飛ばす時だけ魔法を使ったのでしょう。飛ばされた針のスピードは無効にできませんから」
そう説明されたら色々納得できた。
針に塗られた毒は神経毒で動きを封じるだけで、死には至らないものだったらしい。
「自供した犯人の話では歩夢先輩のことを刃物で殺害して、その罪を梟に被らせるつもりだったようです」
「やっぱり、アイツらアウルごとオレを殺すつもりだったんだ」
「はい。あの建物に乗り込むと既に歩夢先輩は殺害されていて、現場にいた犯人が火を放ち逃げようとしたためやむを得ず殺害した。という筋書きにしようとしていたらしいです」
漫画みたいなことを企む奴らだな。
想像したら悪寒が走って腕を摩った。
「あん時……オレ、本気でもうダメかと思ったんだ。しかも、イチゴくんにもらったピアスも壊れちゃうし……」
縋るものがなくなって心細かった。
炎に囲まれてもう死ぬのかなって思った時、家族の顔よりもイチゴくんの顔が真っ先に思い浮かんだ。
死んじゃうなら、もう一度だけ会いたいなって。
なのに、ちょっと名前呼んだだけで粉々に壊れちゃって……。
イチゴくんが現れるまで絶望しかなかった。
「あー。それはあの石の純度が低かったせいです。そのおかげで、なかなか歩夢先輩の居場所を特定できなくて……ぁ……」
オレの居場所を特定?
なんだその「あっ、ウッカリ言っちゃった」って顔は?
「テヘッ」じゃねえ。
「……おい」
ちょっとツラ貸せやぁ。




