45.
空腹のオレはカレーライスを所望した。
肉は薄切りの豚肉、野菜は大きくゴロゴロ入っていて、市販のルゥを溶かして作ったおうち風カレーを目指して作ってもらった。
「もっと良いもの食べたいって言うかなって思っていたので意外です」
「オレはこういうやつの方が好きなんだよ。それに食材はいいもの使ってんだからこれも十分良いものだ。あとな、良いものはたまに食べるから特別で美味いんだよ」
「ふふっ、そうですね」
おうち風カレーは美味くて、イチゴくんもオレもお代わりをした。
食後のイチゴパフェをつっつきながら俺が誘拐された時のことを聞いた。
オレを誘拐するように依頼したのは何とかっていう子爵の手の者だった。
2日目の宴で会ったらしいが、名前も顔もオレは全然覚えていない。
誘拐した理由はやはりイチゴくんの婚約者のオレの存在が邪魔だったらしい。
「もっと良い人を選ぶべきだ」と言って挙げた名前はマリフェス嬢で、こっちもやはりという感じだった。
「そういえば、アウルはどうなった?」
「アウル?ああ、梟のことですか?」
「梟?」
「そのアウルという男の居る部族の通称です。夜目がよく利き、あちこち飛び回るのでついた名のようです」
「じゃあ、アウルって名前は偽名?」
「かもしれませんが、あの男、歩夢先輩に懐いていたようなので本名かもしれません。彼なら地下牢にいます。怪我も大したことがなくピンピンしてます」
そう説明するイチゴくんの語気が強めなのがちょっとビビったけと、アウルは無事そうだ。
「なあ、アウルに会えるかな?」
オレは最後にとっておいた苺を食べてから聞いてみると、イチゴくんにものすごい嫌な顔をされた。
「会わせることはできません。先輩を誘拐した男ですから」
さっきよりも語気を強めに言われ一瞬怯んだが、オレは負けずに続ける。
「でも、イチゴくんが来るまでオレを守ってくれた男だ」
「っ……」
その一言にイチゴくんは悔しそうに唇を噛んだ。
ちょっと言いすぎたかもしれない。
「彼は梟の中でも特別なんです。そんな男に先輩を会わせるわけにはいきません」
イチゴくんの意見は変わらなかった。
むしろ、なんか怒ってない?
「特別ってなんだよ。魔法使えないことか?」
「いえ、彼は魔法を無効化する能力があるんです」
あれ……どっかで聞いたような……。




