37.
「んで、此処って何処?……おっ、ウマイっ」
「王都からちょっと離れた山の中。……だろ」
なんだかんだでアウルの採ってきた木いちごを仲良く2人で食べる。
「この山小屋は狩猟者が動物に追われたり、何らかの事情で身動きが取れなくなった時のための避難所だ。狩猟者は基本的に2、3日過ごせる程度の準備をして狩りに出ているから、ここには暖を取れる程度の設備しかないんだ」
あくまで一時避難のためのもので、泊まりに来ているわけではないからベッドもない。
「意外にハードなんだな……けほ」
「まあ、命を狩るんだからな。逆に命を狩られる場合だってある。動物だって生きてるんだし、向こうも俺らを餌と見えてんだろうから。危険で大変なのは仕方がないさ」
アウルは咳払いするオレに腰に下げてある水袋を渡してくれた。
コイツ、意外に甲斐甲斐しいよな。
「これ食ったら移動するから」
「何処に?」
「決まってんだろ。俺の依頼者だよ」
「……あ」
アウルと友達みたいに喋っていたけど、オレってアウルに誘拐されたんだった。
「自分の立場忘れてたのか?ブハッ、アユムって面白いな」
「うるへーっ」
ほんっと、ちょいちょいムカつくやつだな。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
移動といっても、オレはアウルに背負われての移動だ。
イチゴくんたちに追いかけられていた時ほどのスピードは出てないが、それでもアウルの走るスピードは速い。
安全に運んでくれているけどやっぱり怖くて、時々ギュッとしがみ付いてしまうオレをアウルはクスリと笑った。
途中で立ち寄った村で食事を摂ることにした。
もちろん、オレは金を持ってないから支払いはアウルだ。
「しっかし、アウルの体力、バケモンだよな」
「まあな、俺の種族は身体能力に長けているんだよ。その代わり魔法が使えないけどな」
「へぇ」
前にイチゴくんに魔法が使えない民族がいるとは聞いたけど、まさか会えるとは。
「アユムも魔法使えないんだよな」
「ああ、オレの国もみんな魔法使えないよ」
なんせ異世界だからな、とは言えないが。
「話っぷりから大陸の人間じゃないみたいだけど、何処の大陸から来たんだ?」
「そ、それは言えない……」
気まずくて目を逸らしてしまったが、「あ、そう」と興味なさげなアウルの反応にちょっと安心する。
「オレがこの大陸の人間じゃないって……アウル、そんなことわかるのか?」
「俺、この大陸は仕事でほぼ回ったからな」
そう言うと運ばれてきた鶏肉の煮込みを大口開けて頬張る。
あまりにも美味しそうに食べるから、オレも齧りつこうとしてハッと手が止まる。
「なあ、アウルの仕事って……?」
「あー、なんつーか……何でも屋?」
適当に答えるアウルにオレは目を細める。
絶対違うだろっ!




