28.
オオキミくんとキラピカくんと合流後、なんとか端まで行ったけど正直うわの空でどんな屋台があったか覚えていなかった。
それでも、あの屋台に行く前に買ったいちご飴は美味しかったから、それだけは戻る時に屋台に寄って残りのお金で一本買って食べながら帰った。
対するイチゴくんはずっとご機嫌で、夕食時もニコニコしていた。
「ピアスは明日開けますね。じゃあ、おやすみなさい」
コクっと頷いたオレの頭のてっぺんにキスをすると小さくスキップをしながら自室に戻っていった。
「はああぁぁぁぁ」
湯船に浸かりながら、つい大きなため息をついてしまう。
「なーんで、あんな賭けしちゃったんだよ、オレ……」
風呂場の高い天井を見上げながらボヤく。
思い出すのは昨日のアフタヌーンティーの後のこと。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「歩夢先輩。僕とバドミントンしませんか?」
「えっ⁉︎イチゴくん、バドできんの?」
「いーえ、初めてです」
こ、これはイチゴくんに勝つチャンス。
「言っとくけど、オレ、初心者にも容赦しねぇよ」
オレは髪をかき上げてドヤ顔で言うと、イチゴくんは目を輝かせた。
「じゃあ、賭けをしましょう。負けた人は勝った人のお願いを一つ聞く、でどうですか?」
「ああ、いいぜ」
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
ぐあああぁぁ。
オレに魔法が使えるのなら、あの愚かなオレの発言前まで時を戻したい。
湯船で頭を抱えそんなことを思う。
バドミントンの結果は、オレの惨敗。
一度も勝てなかった。
イチゴくんは否定してたけど、あのラケット捌きは初心者じゃねぇ。
って聞いたら、テニスはやったことあるって。
いやいや、全然違うだろ。
テニスなんておしゃんてぃなスポーツ経験だけでバドミントンまでできるとは……。
チートなイケメン恐ろしや。
「でもまあ、ピアス開けるくらいいっかぁ」
また膿んで塞がる可能性もあるし。
また開ける機会ができたと思えばいい。
だから、そこまで重く考えなくてもいいかもしれない。
「ぁ……」
耳たぶを摘んでいたらうっかりイチゴくんに触れられた時のことを思い出してしまい、恥ずかしすぎて湯船に沈んだらのぼせた。




