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24.

初めて降りた城下街は想像以上に華やかで賑やかだ。


「アユくん、行こ!ユキ兄様とキミ兄様も」

「おうっ」


キラピカくんはオレの手を掴むと駆け出した。

オレは朝と変わりない服装だが、3人は朝食時の服から着替えてかなり質素な装いだ。

髪の色と瞳の色もオレ以外の人には少しダークに見えるように魔法をかけたらしい。

それでも隠しきれない貴族オーラのおかげで、お忍びで遊びに来た良家のお坊ちゃんにしか見えない。

結果、庶民に溶け込むはずのオレまで目立つことになった。



城下町の市は、野菜や雑貨、骨董品だけでなく多数の飲食の屋台がほぼ隙間なく左右に並んでいて、色んな匂いがオレの鼻に届く。

しかも、かなり先まで展開している。

祭りの屋台でもこんなに長いとこは見たことがない。

それだけでさっきまで憂鬱だった気持ちはどっかにいき、テンション爆上がりになった。


「アユくん、アレ食べよっ」

「イエッサー」


真っ先に向かったのはわたあめだ。

頭脳は高校生でも中身はやっぱり子どもだ。

美味しそうに食べる姿はほっこりする。


「アユくんあーん」

「あーん。……ん、美味(ウマ)いな」

「うん。美味しいねっ」


久しぶりに食べたけど、口の中でジュワッと溶ける感じがやっぱり美味しい。


「ユキ兄様もあーん」

「あーん」

「キミ兄様もあーん」

「……ぁー」


イチゴくんは嬉しそうに、オオキミくんはちょっと恥ずかしそうに口を開けた。

それから目についた屋台でかき氷や串焼きを食べたり、射的や輪投げのゲームもして歩いた。



市もだいたい半分まで到達した頃。

急にキラピカくんがもぞもぞしだした。


「キラピカくん、どうした?」


心配になって覗き込むと少し涙目のキラピカくんと目が合う。

キラピカくんはオレの腕を引っ張ると耳元でコソコソ話した。


「アユくん。ボク、おトイレ行きたい」

「えっ!」


ナンテコッタ。

さっき食べたかき氷が膀胱を刺激したのかもしれない。

オレの世界の祭りだと神社の境内や近くの公園とかにトイレがあるけど、この世界の城下町にはトイレの目印とかは見当たらない……というかわからないっ。

そうこうしているうちに、キラピカくんの動きが激しくなる。

困り果ててイチゴくんとオオキミくんを見上げて助けを求める。

オオキミくんが小さく息を吐いた。


「俺がーー」

「僕が連れて行くよ」


オオキミくんを遮るようにイチゴくんがキラピカくんの手を取った。


「兄上、俺がーー」

「ううん。オオキミにばかり負担はかけられないよ。それに僕だってキラピカの兄だからね」


ウィンクし「すぐ帰ってくるから」とキラピカくんを連れて人混みの中に消えていった。


取り残されたオレはオオキミくんをチラッと見る。

正直、オオキミくんはちょっと苦手だ。

宴の翌日からオレの前では無口でどこか怒っているように見え、ほんのちょっとビビりなオレはなんとなく恐縮してしまう。

それ以上にこの沈黙は嫌だ。


「あの……オオキみぃぃぃ」


突然、オレの身体はオオキミくんに引き寄せられた。



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