23 4日目
見上げた天井は今日も高い。
「はぁ」
朝が来てしまった。
トボトボと洗面所で顔を洗う。
「はぁ」
ため息がまた出た。
「出掛けたくない……なんて言えないよな……」
鏡の中の冴えない顔は絶賛憂鬱中だ。
ピシャリと頬を叩いて「よしっ」と気合を入れてから洗面所を出ると、クローゼットを開け目についた服に着替え始める。
コンコンコン
ノック音から数秒後。
オレの返事を待つことなくドアが開けられる。
「ぁ……ちょっ」
「アユくん、おっはよー」
「歩夢先輩、おっはようございまーす」
イチゴくんとキラピカくんが元気に入ってきた。
オレの状況を気にすることなく楽しげにオレの側まで歩いてくる2人。
「さっ、早く着替えて朝食食べましょう」
「ご飯食べよー」
オレの服を掴んで引っ張る2人。
「おい……」
「わぁ、先輩……肌きれいですね」
うっとりするイチゴくん。
「ユキ兄様、ボク何も見えないっ」
慌てるキラピカくん。
「……」
プルプル震えるオレ。
「先輩、どうしました?」
呑気に聞いてくるイチゴくんにオレの中でブチッと何かが切れる音がした。
「……オレは着替え中だーっ!2人とも出てけーっ!」
「ご、ごめんなさーい」
「えっ、何?アユくん?ユキ兄様?」
上半身裸で胸元を手で隠して怒鳴るオレに驚いたイチゴくんは、キラピカくんを抱えてダッシュで出ていった。
キラピカくんの視界を手で塞いだまま。
くっ、朝から最悪だ。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「ウチの息子たちがごめんなさいねぇ。ちゃあんと叱っておいたから」
「いえ、ありがとうございます」
王家の食卓に紛れ込んでいるオレは、諦め半分で王妃様の謝罪を受け入れる。
当事者のイチゴくんとキラピカくんは反省しているのかオレの両サイドでしゅんと俯いている。
「ボク、アユくんの裸ほとんど見てないのに」
「歩夢先輩は僕の婚約者です。たとえ身内であっても僕以外の者に見せることはできませんよ」
……うん。2人とも反省してないね。
残念そうなキラピカくんと、キリリっとお花畑の発言をするイチゴくんに、「はあああぁぁ」と何度目かの深いため息が出る。
上半身なんて水着を着たら出る部分だから、見られたところで減るもんじゃないけど、この世界では……というか、イチゴくんたちには見せてはいけない気がする。
そんなイチゴくんたちと今日はお出かけだ。
「歩夢先輩、昨日の約束忘れてないですよね」
隣でイチゴくんが嬉しそうに小声で話掛ける。
「できれば今すぐ忘れたい。ナウで記憶喪失になりたい……」
「そうなったら僕の愛の力で思い出させますよ」
満面の笑顔で歯が浮くセリフを吐く姿が悔しいけど様になってる。
この様子を見ると、記憶喪失になる方が厄介な気がしてきた。
「はああぁぁぁぁ」
また深いため息が出た。




