18.
そうだよな。
こんな眉目秀麗な人しかいない様な世界の王子様にオレみたいな何の取り柄もない"THE 平凡"が選ばれること自体おかしな話だ。
オオキミくんに指摘されて当たり前だ。
性格悪そうだったけどマリフェス嬢みたいな綺麗な人をイチゴくんは選ぶべきじゃなかったのかな。
王妃様のような超美人をさ。
「アユくん……?」
チョンと袖口を引っ張られそちらを見ると、心配そうなキラピカくんと目が合った。
「キミ兄様はねーー」
「どうかしたのですか?」
その声にハッとし振り返ると、不思議そうな顔をしたイチゴくんがいた。
思わずオオキミくんやキラピカくんに視線を送るが、2人ともイチゴくんの気配に気づかなかったようで驚いた顔をしている。
「っ……。兄上、先程サーペント侯爵が彼に接触してきて、危うくアルコールを飲まさるところでした」
「そうか」
「申し訳ありません」
さっきまでの勢いはなくなったオオキミくんは、頭を下げ謝罪した。
彼が謝罪する意味が分からず、それを止めようする。
「オオーー」
「あのっ、ユキ兄様。キミ兄様はーー」
「わかってる。歩夢先輩がアレを飲むのを阻止してくれたのならそれで十分だよ。ありがとう、オオキミ、キラピカ」
イチゴくんは2人の肩に手をおいて優しく言った。
オオキミくんは顔を伏せたままキラピカくんを連れて会場の中心へ行ってしまった。
「あ、あの、イチゴくーー」
「僕は兄弟との距離の取り方が下手な様です。叱るつもりはないのに、オオキミにはいつも悲しそうな顔をさせてしまうんです」
「それはーー」
たぶん、オオキミくんにとってイチゴくんは"特別な存在"だからかもしれない。
キラピカくんもそのことを薄々気づいているように感じる。
「あのさ。オオキミくんにはオレからもう一回お礼言うよ。助けてもらったのはオレだし。あと、オオキミくんとキラピカくんをよこしてくれてありがとう……アワユキくん」
「先輩……」
オレが笑ったらイチゴくんも笑った。