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13 2日目

目を開けると見知らぬ天井があった。


「た、高いな……うっ」


もぞもぞと起きあがろうとするが、ベッドがフカフカすぎてついた手が沈む。

人生でここまで上等な布団に包まれたことがないオレは起き上がれずベッドで溺れた。

仕方がなくゴロゴロと転がってベッドの端まで移動すると、うっかり転がり落ちてしまう。

が、柔らかい絨毯が受け止めてくれた。


「ふぅ、今何時だ?」


時計を探すが見当たらない。

サイドテーブルに置いといたスマホを見ると10時半をすぎていた。

慣れない土地やら、王様との謁見とやら、フカフカのベッドのおかげで二度寝してしまい、朝飯を食いっぱぐれてしまったようだ。


「誰か起こしに来てくれてもいいじゃんかぁ」


オレのボヤキに相槌を打つように腹の虫が鳴った。

部屋を横断して洗面所に向かい顔を洗う。

来訪客であるオレに充てがわれた部屋は来賓用の豪華な部屋で、ほぼ手ぶらのオレには無駄に広い。


昨日ここで夕飯をいただいた時、この世界のこと、この国のこと、この城のことを色々教えてもらった。


イチゴくんの故郷は異世界にあり、このストロベリー王国はその異世界のベリー大陸の中心にある一番大きい国だ。

ちなみにベリー大陸にはストロベリー王国の他に、ラズベリー国やブルーベリー小国、ブラックベリー国、ボイセンベリー共和国とかの国があるらしい。

この世界では魔法が使えるが人類全てではなく、極一部の民族は使えない。

また、この世界はオレらの世界でいう中世の時代で、王族や貴族は魔力が大きく平民は小さい。

それには理由があり、王族は国を守るため、貴族は王族を含む民を守るため、平民は豊かな国を守るために必要な魔力量らしい。

そして、魔法は他者を傷つけたり戦争の道具にしてはいけないと法律で定められている。

更に王族には自国を守るための特別な魔法が付与されているらしい。

その魔法の大きさが国土の大きさに現れているそうだ。


とすると、このストロベリー王国の王族のイチゴくんは相当な魔力量を持っているのか。


はぁ。

腹減った。



コンコンコン



洗面所から出たタイミングでノック音がして、3秒後にドアが開いてイチゴくんが現れた。


「歩夢先輩、おはようございます」

「おは……つか、オレの返事待ってから開けろよ」

「あ、すみません。それより朝食お持ちしましたのでご一緒していいですか?」


イチゴくんの後ろからゾロゾロメイドさんが入ってきて、あっという間にこの部屋に朝食のセッティングをしてくれた。


「先輩。飲み物はコーヒーと紅茶どちらにしますか?」

「コーヒー牛乳」

「カフェオレでもいいですか?」


オレが頷くとイチゴくんの後ろに控えていたメイドさんが、ドリップしたコーヒーにミルクをたっぷり入れてオレの前に置いた。

それを一口飲むと、シュガーポットを手に取り砂糖を2杯入れた。


「歩夢先輩ってまあまあ甘党ですよね」


イチゴくんはふふっと笑うとブラックコーヒーを飲んだ。


「悪かったな。お子ちゃまな舌で」

「いいえ、可愛いなって思っただけですよ」


拗ねるオレにまた笑うイチゴくん。

オレより大人な態度のイチゴくんに、悔しくて朝食をかき込んだ。





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