表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/68

10.

街の中心に降り立った馬車から降りると物々しい出迎えを受けた。

RPGやファンタジーの世界でしか出てこないような騎士やメイドが左右に並んいて、オレたちが馬車から降りるタイミングでボワッと赤い絨毯も現れた。

その絨毯の上をオレはイチゴくんにエスコートされ歩く。

扱いはまるでお姫様だ。


入り口で優しそうな執事に迎えられると、イチゴくんは着替えをしてくるとシフシさんを連れどこかに行ってしまった。

オレは出迎えてくれた執事さんに貴賓室に連れていかれた。



「はへー」


見上げた天井は体育館並みに高かった。

貴賓室に案内されソファーに座るや否やメイドさんが来てお紅茶とケーキやクッキーを目の前に並べた。

色々驚きすぎて口の中がカラッカラだったオレは、とりあえずお紅茶を一口頂くが緊張で味が全くわからない。

今は口の中を潤せればい良いけど、イチゴくんが居ないだけでこんなに心細いとは。

結局、お紅茶は一口目以降、喉を通らなかった。



ガチャ


扉の開く音が聞こえて振り返ると、扉付近で待機していた執事が扉を開けていた。


「イチーー」

「先輩、お待たせしました」


入ってきたイチゴくんは白地に金の刺繍が入った衣装を着ていた。

そして、その衣装に付けた真っ白なマントの内側は赤くて派手だったが、その姿はまさに王子様だった。

オレの向かいに回り優雅にソファーに座るイチゴくんにメイドさんがサッとお紅茶を出す。


「先輩?口開けっ放しで、今にも涎が垂れそうですよ」

「じゅる。あ、いや……」


慌てて手の甲で口の端を拭う。

幸い涎はまだ垂れていなかった。

ふっと笑ったイチゴくんは優雅な仕草でお紅茶を飲んだ。


「アワユキ王子。10分後に王との謁見となりました」

「わかった」


後から入ってきてイチゴくんの後ろに立ったシフシさんが、イチゴくんに耳打ちする。

そんなシフシさんも正装していて、そこにはオレの知らないイチゴくんがいた。


いつからだ?

緊張感のない大きな扉を抜けてから?

いや、あのクローゼットの中の真っ白な空間に入る時からもう雰囲気は変わっていた気がする。

急にイチゴくんが遠くに感じて、イチゴくんが何か話していたけどオレの耳には届かなかった。


それから少しして迎えに来た騎士に案内され王様に会いに向かった。

もちろん、イチゴくんにエスコートされて、だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ