第1話 「売られたケンカ」
「デュエル」。
それは、この世界で盛んに行われているカードゲーム。
このカードゲームには「モンスターカード」というカードが何百種類も存在し、それぞれのカードに攻撃力が設定されている。
プレイヤーはお互いに強力なモンスターを出しながら相手のライフを削っていき、0になったほうが負け。極めてシンプルなルールだ。
さらにモンスターカードとは別に魔法カードや罠カードなどもあり、強いモンスターカードが出せなくても簡単に逆転できるそのゲームシステムは多くのプレイヤーを生み出し、デュエルの人気はさらに拍車をかけていった。
その影響は俺の故郷、彩野芽町でも例外ではなかった。
自己紹介をしよう。
俺の名前は英塚 雄介。
彩野芽町にある私立高校、彩野芽高校の高校2年生、17歳。
自己紹介、終わり。
え?「デュエルはしないのか?」って?
まあ、趣味程度に楽しむくらいで、自分からデュエルを持ち掛けることはあまりないな。
一応、デッキは持ってる。
・・「デッキは」、な。
◇◇◇
その日はやけに桜が綺麗に見えた日だった。
高校の授業が終わり、最寄り駅に向かっていた俺は駅前で人だかりを見る。
そこにいたのは、うちの高校の女子高生が何人かと、若い集団がちらほら。
なんの人だかりなのかはすぐに分かった。
シンドウ。
俺と同い年でありながら、数々のデュエル大会で優勝している絶賛大人気の男。
先日のデュエル日本トーナメントでは華々しく優勝し、見事デュエルチャンピオンの称号を手にいれたとかなんとか。
そんな彼が、どうしてこんな辺鄙な町にいるのか?
答えは単純。今度この町で大規模なデュエルの大会があるからだ。
確か「ストラグルカップ」とかいったっけ?
まあ、参加しない俺にはどうでもいい話なのだが。
とにかく、そのストラグルカップ開催に合わせて、参加者の多くはこんな感じでファンに対してイベントを行っているというわけだ。シンドウもその一人ということである。
俺は特別シンドウのファンとかではないので、さっさと退散しよう。
何故か嫌な予感がするから。
「お! ねえ、そこのキミ!」
どうやら、一足遅かったようだ。
声をかけてきたのは、紛れもなくシンドウ本人だった。
周りを見渡すが、シンドウの目線は完全にこちらを向いている。
どうやら、俺に声をかけたことに間違いはなさそうだ。
「今度、デュエルの大会があるんだ。デッキの調整もしたいし、腕試しにオレとデュエルしないかい?」
嘘つけ。
本当にデッキの調整が目的なら、もっと強い相手はいくらでもいる。
どうせ本当はここで華々しく勝って、もっと人気を得ようという魂胆だろう。
まあ、でもーー
「・・良いですよ。ちょうどデッキも持ってますし。」
俺は、売られたケンカは、結構買う主義なんだよ。
俺はスマホを取り出し、デュエルのアプリを起動した。
「デュエルモード、オン。
対戦相手、シンドウ選手。
初期ライフは4000。
オフィシャルルールでデュエルを開始します。
よろしいですか?」
アプリ側の返答に、俺は「YES」のボタンを押した。
「さあ、始めようか、チャレンジャー!」
「「デュエル!」」
どうも、CHACHAです。
本当はデュエル部分も書きたかったけど、キリがいいのでここで一旦ストップします。
次回から、いよいよデュエル回です。
どういう書き方にすれば分かりやすくなるか模索しながら書いていきますのでお楽しみに!