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90泊目 恋バナ?

「クロエ!! 大丈夫か!?」


 勢いよく扉を開けた瞬間、俺は拍子抜けをしてしまった。


「うんうん。それは大変やなぁ〜。でもそれはさ、どうにもならないんちゃうん? だってサキュちゃんはなーんも悪くないやん?」


「そうなのよ……。だからこそ悩んでてさぁ……。あーん、やっぱり諦めるしかないのかなぁ」


 クロエとサキュバスは、何故か2人で椅子に腰掛けながらお茶を飲んでいるようだ。


「あ、ユート! この子ねぇ、なんか知らんけど気付いたらウチの部屋におってさあ。どーにも彼氏さんとうまくいってないらしいねん〜。それで今恋バナしてたとこ〜。ユートも一緒にどう?」


「突然すみません。どうも、お邪魔してます」


 ペコリと頭を下げたサキュバスに、俺は戸惑う。


「ん? あれ、いや、その……。お仲間の皆様がなんか大暴れしてるのですが君は……」


 まさかの展開に面食らって、しどろもどろになりながらも話しかけてみる。


「あぁ、色情狂たちは放っておいてくれて……というか、懲らしめてくれちゃって大丈夫です。見境なしに精力を吸い取って回るなんて、獣みたいなものよ。ほんと、汚らわしいわ」


「あはは、サキュちゃん、うちのところに来た時めっちゃテンション低かったもんなぁ。精気ください、無理ならいいですーなんちゅうてなぁ〜」


「私はダーリン一筋だもん! 誰の精気でも吸えればいい、なんて考えられない! ほんっと、なんでサキュバスなんかに生まれちゃったのかしら。あーあ、人間に生まれてたらなぁ、もっとうまくいったのかなぁ」


「あーほら! サキュちゃん! 泣かんといて! 大丈夫やよ〜。きっと一時のすれ違いでしかないんやから〜!」


 ……うん、クロエはもう大丈夫だな。一緒にいるサキュバスも危害は加えてこなさそうだし、何も見なかったことにしてそっとしておいてやろう。

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