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80泊目 全ての疲れは温泉と共に

「くぅ〜〜……っ!! 疲れたあ〜〜……!!」


 露天の湯に体を浸すと、ダンジョン探索で溜まっていた疲れを全て感知すると共に、その疲れが湯に溶け出していくかのようだった。

 改めて思い返せば、久々のダンジョンでは色々なことがあった。

 最初は襲い来る魔物に手間取っていたけれど、着実にレベルも上がり、最後の方では雑魚同然になっていたし、これはまた定期的にダンジョン探索に出かけることもできそうだ。

 むしろ、定期的に剣を振るわないと身体が鈍ってレベルも下がるという事実も発見できたなぁ。

 お宝もたくさん手に入ったし、しばらくはゲストハウスの経営も安定しそうだな。

 次に挑むダンジョンは、どこら辺が適正レベルなんだろう……。冬でお客様が少ないうちにまた行っておかないと。

 それにしても、ニュウの大魔法、あれにはビビった。

 ニュウには昔から人よりも魔力がある、とは聞いていたが、あそこまで爆発的な魔力を秘めているなんて思いもしなかったぜ……。

 うちのゲストハウスが禁魔なのはもしかしてニュウにとってはかなりのストレスだったりするのか? うーん……。


「おっ、先客がいたか」


 頭の中で色んなことを思い返していると、内湯から露天風呂へと続く扉が開く音がし、オイゲンが入ってきた。


「……っあーーーー!! これこれ、これだよ! やっぱ温泉っちゅーもんは最高だぜ……! 特に一仕事終えた後の湯は、筆舌に尽くし難い……!」


 豪快に笑うオイゲンの身体はそこかしこが傷だらけで、シェフの身体とは思えない風貌をしていた。


「いやぁ、にしても色々あった冒険だったなぁ、今回は……。俺様の弓の腕も現役の時からは比べ物にならねぇくらいに衰えちまってたぜ。やっぱし獣だけ狩ってちゃ勝手が違うか」


「俺もだ。こんなに剣って扱いにくかったっけ!? ってビビったもんな」


「ま、今回の冒険は結果的に最高だったぜ! なんてったって、色んな魔物料理を作れたんだからなあ」


「それに関しては本当に驚いた。魔物があんなに美味しいだなんて思ってもみなかった……というか、魔物を食べるなんて発想自体がなかったからな」


「意外といけるだろ?」


「うん。何ならまた食べたいって思うくらいだ」


 あの魔物はこんな調理方が合うんじゃないか、その魔物は不味そうだ、などとオイゲンと2人で盛り上がっていると、隣接している女湯から声が聞こえてきた。

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