79泊目 ステ振りをキャラデザに特化した生物
「いやぁ〜おかえり〜! えらい時間かかったなぁ、それでそれで、どないやった〜!?」
「痛い痛い! おい、ひっつくな! 離せ!」
ゲストハウスに着いた瞬間、クロエからの熱烈な歓迎を受ける。
ドアを開けた瞬間に抱きしめられ、身動きが取れなくなってしまった。
他の奴らに目線を向けて助けを求めようとするが、誰も目を合わせてくれない……!!
「あ。ちょっと汗臭い〜お風呂入らないとダメやね〜これは」
そう言ってパッと突然手を離され、身体のバランスを失い、俺は尻餅をつく。
解放されたのは良いが、帰ってきて早々、あんまりなお出迎えだ!!
「エルちゃん〜!! 目的のものは手に入った?」
腰をさすりながらクロエの方を見ると、今度はエルに引っ付いていた。
ふぅ、と気の抜けたため息をすると足元に温かな気配を感じる。
こ、この気配は……! もしや……!!
足元に目線を落とすと、そこにはこの世のものとは思えない神のような可愛さを持つ生物がこちらを見上げていた……!!!
「ユキチさん!! ユキチさんじゃあないですか!! 俺たちの留守中はどうでしたか!? ちゃんとおやつはもらえていましたか!? たくさんお昼寝もできましたか!? 今日も変わらず大変に可愛らしいお姿ですねぇ、少し、少しだけもふもふさせていただいても良いですか!?」
そう言いながらユキチさんを抱え上がると、極上の幸せが身体を駆け巡った!!!!
暖かい、柔らかい、香ばしい香りになんとも言えない完璧なフォルム……。
嗚呼、これは世界で間違いなく世界で1番幸せな重みだな!
ユキチさんをだっこして可愛がっていると、飽きたのかすぐに腕の中で激しく動き始めた。
嫌そうにするユキチさんを解放すると、ユキチさんはそのままニュウの元へと走っていった。
帰ってきたメンバー全員にきちんと挨拶をして回っているのだろうか。
なんで可愛らしい神様なんだ……!!
さて、クロエとユキチさんへの挨拶も済ませたことだし、今日はゆっくりと休みたい。
クロエが言うように、この身体中についてしまった泥と汗を流すことがまず何よりの優先事項だ。




