76泊目 吐き気に馳せる想い
「あったあったー!!おーい!!!!」
早足を通り越して全力疾走になっていたミュウが、どうやらワープポータルを見つけたようだ。
大声でこちらを呼びながら手を振っている。
もしもポータルがなかったら、ということを考えるとそれだけで疲労感が半端ないぜ……! まだそこに存在していてよかった、と安堵して俺も駆け寄る!
この階層に来た時と何も変わりなく、ポータルは光を放っていた。
この様子なら無事に六下層まで戻れるはずだ。
「うう……またあの気持ち悪さを味わうことになるのかぁ……」
口に手を当てながら顔を歪めるミュウを見て、俺もつられてあの気持ち悪さを思い出した。
けれど、ここから1階ずつこの大荷物を持って上がっていくのはあまりにも辛すぎる。
その辛さとポータル酔いの辛さを天秤にかけたら、それはもう腹を括るしかないじゃないか!!
「……よし。ニュウ、エル、ポータルから出た後の救急手当は頼んだ!」
「ええ。僕たちにかかればどんなポータル酔いもすぐに全快ですわ」
「任せてくださいっ! 薬草もきちんと調合済みです! では、先に向こうで待ってます!」
そう言いながら2人はなんの躊躇もなく、軽い足取りでポータルの中へと吸い込まれていった。
次に来る苦しみを想像して腰も引き気味だが、覚悟を決めて俺もポータルに足を踏み入れた……!




