74泊目 闇水・コントラクトをその手に
「ようやく……! ようやく手にすることができました! 闇水・コンクラクト……!!」
中央に鎮座していた黄金のゴブレットの中身を覗き込み、エルが弾んだ声を上げる。
「へぇ、嬢ちゃんがずっと探してたってのはこの液体? なんだかゼラチンなんだからわからんシロモノのことか。……なんかなんとも言えねぇ匂いがするな? 練金魔法とやらに使う素材……だよな?」
「ふふふ、これはですねぇ、転換の魔力を使って、更にそれを繋ぎ止めるのに欠かせない液体なんですよ。ヴァロールの儀式で使われることは有名なんですが、まだ手にした研究者も少なく、この闇水自体の成分や作り方は謎のままなんです。だから、ヴァロールから直接奪うしか方法がないんですが、ほんとにこれ、どうやって作られてるんだろう……。あ! もしかしたらヴァロールホルモン器官に関係する体液の可能性も……?」
モードに入ったエルを見て、オイゲンはやっちまった……と気まずそうな顔をしてこっちに助けの視線を投げてくるが、こっちも善は急げだ!
騒ぎを聞きつけて他の魔物やヴァロールがやってこないうちに、そしてワープポータルが存在しているうちに、祭壇のお宝は全ていただいていくぜ!
祭壇を物色して金や宝石、毛皮に武具、そして呪具などを袋に詰めていく中で、ひとつ気になるものがあった。
それは闇水が入った黄金のゴブレットと共に祭壇の中央に祀られていた、片手で持てるくらいの紫色の球体だ。
「これ、何なんだろうか……。今まで見たことない道具? だなぁ。何かのまじないにでも使うのか?」
その球体の淡い発光はおさまることもなさそうで、触れるとほんのりと暖かい。
魔具に造詣が深いエルにでも聞いてみるか?




