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50泊目 魔物を食べる前にはお祈りを忘れずに!

 しばらくして、俺は鼻をつく料理の匂いで目が覚めた。

 何分間寝ていたのかはわからないが、スッキリとした目覚めだ。


「坊ちゃん、起きたか! もうすぐ飯も用意できるぜ!」


「オイゲン。ごめん、食事の用意も全て任せてしまった。……なんだかものすごく良い匂いがするな!?」


「いいってことよ! 俺様は味見と称して結構食べたし、お前さんたちが食べてる間にちょいと休ませてもらうぜ、交代だな!」


 年長者でもあるオイゲンの頼りになるっぷりは言葉に表せないほどだ。父親と母親、両方の気質を混ぜたような安心感で、いつも甘えてしまう。


「ありがとな、今度経費で好きな食材も調味料もなんでも買い揃えてくれて良いからな……!」


「おいおいマジか!? これでジパングのコショーセットもユーグランドの七味エキスも、スカンク草もダイオウベリカの肉も買えるぜ……!」


 ガハハ! 最高だ! と喜ぶオイゲン。……来月分の食材費の出費は覚悟しておいた方がよさそうだな。


 手頃な岩を利用し、簡易テーブルのセッティングが完了したところで、ミュウとニュウ、エルを起こしにいく。


「飯ができたぞ、起きろー! 起きないと全部俺が食べちまうからな!」


 全員にそう言ってまわると、3人はもぞもぞと起きだした。

 そしてまだ目が開ききっていない3人は同時に、全く同じ言葉を発した。


「「「いいにおい……」」」


 未だ寝ぼけ眼の3人と俺とオイゲン、全員がテーブルにつく。

 むにゃむにゃと言葉にならない言葉を発していた3人だったが、テーブルについた瞬間、覚醒した。


「ナニコレめちゃくちゃ美味しそうじゃん……!」


「これ、全部魔物からできていますの? 信じられませんわ……」


「動いている時はあんなに怖かったのに、こうやって並ぶともう高級ディナーにしか見えません……!!」


 感動している3人を前に、そうだろうそうだろう、ガハハ! とオイゲンが豪快に笑いながら頷く。


「さてさて。今回のダンジョン飯は"アイ・デューサの目玉パイ包み"、"サクサク触手フライ"、"闇羽虫のポワレ"、"偽オマール海老ビスク"だ!」


 ごくり、と喉が鳴る音がどこからともなく聞こえる。

 香炉の効果もあってか、空腹も限界だ! 華麗なる変貌を遂げた魔物たちを、味わわせていただくとしますか!!

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