44泊目 「もっと美味しそうな見た目のやつもいるじゃん…」
この階層での俺たちのミッションは二つ。
ひとつは、香炉を探し出して破壊すること。
もうひとつは、食べられそうな魔物を狩り、食料として調達することだ。
何体かの魔物を倒しながら、ダンジョン内を進む。
「あの……今まで倒してきた魔物、全て見た目が気持ち悪いのですが……? 食べられそうな魔物が見当たりませんわ」
残り少ないパンを少しずつかじるニュウがぼやく。
「この階層の魔物をチェックしていてわかったが、2体ほど食べられそうな奴がいるな」
ニュウのぼやきに対してオイゲンはニヤリと笑った。
「えええ……。どう考えても食用に向いてなさそうなやつばっかりだったじゃん……」
唇を尖らせて抗議をしているミュウを無視し、オイゲンは言葉を続ける。
「今回の狩猟目標は、"アイ・ドューサ"と"闇羽虫"だ」
オイゲンの言葉に、エルの顔から血の気が引いたのが見えた。
「アイ・ドューサと闇羽虫……どっちの魔物も私の住む地域にも生息していましたが、どちらも見た目が不快、ってだけで人間たちに駆逐されてきた魔物です……」
確かに、どっちの魔物も見た目だけで言うと相当気持ち悪い。
アイ・デューサは巨大な目玉の周りに触手が何本も付いた魔物だ。
ふわふわと浮かびながら移動していて、暗闇に突然ギョロっとした目が浮かび上がってきた時なんかは飛び上がる程ビビる。
無駄に長くフサフサしたまつ毛は、育毛成分があるとかで育毛剤の材料にもされている、という都市伝説もある。
もちろん、真偽の程は定かではないが……。
目玉、まつ毛、何でできているのかわからない触手。
アイ・デューサを構成している要素はこれだけなんだが、一体どこを食べるというんだ……?
闇羽虫はその名の通り、ダンジョンの中を飛び回る巨大な羽虫だ。
こいつが近くにいる時は嫌〜な羽の音がブンブン聞こえてくるからすぐにわかる。
ムカデとトンボを足したような胴体に何枚もの羽が生えたような奇怪な姿をしている魔物で、一言でいうと気持ち悪い。
口の横から伸びる鋭い牙で草食生物の血を啜る、という生態があるため、"ドラキュリア・フライ"とも呼ばれている。
個人的にはムチョ=ムッチョの見た目の方がキツいとも思うが、同じようなものか……。




